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気ままな誰かが気の向くままに何かを書く場所。PBCサイト『真!学園戦国伝』に居る誰かの住処。
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所謂7月7日である。



アルタイルとベガ。
それは彦星と織姫を瑛語で表した言葉らしい。
何処となく聞き覚えがあるなぁと思えば、そう言えば数年前の日曜朝8時の特撮で、そんな名前のマスクドヒーローが居たような気がする。

「いんやー、参ったわ。まっさかここまで雨が降るとは加子さんも予測出来ませんでしたよーう」
「その割には随分楽しそうだよねアンタ。」

アーケード街近くにあるベンチと屋根つきの休憩所で、かっぱかっぱと下駄を鳴らす音が響く。
それは自分の隣に居る友人Aが楽しげに両足を打ちつける音で、何度も響いては雨音の中へと消えていっていた。

「そりゃそうっしょー。今日は七夕だよ七夕!愛する二人が、神様の許しを得て年に一度の逢引を楽しむ…こんなエピソードに乙女心が震えないわけが無いっ」
「乙女心って…けど元を辿ればこの二人が別れたのって、自分達が悪いんじゃなかったっけ」
「ま、そーなんだけどねん。…つぅか、ついノリで『乙女心』なんて口走っちゃったけど、あまりの似合わなさに寒気がしてきた」

おお寒っ…と、大袈裟に隣で身を抱いて震えるジェスチャーをするは、藍染・朝顔浴衣の鷺沢加子。
其れを見て思わず苦笑に近い声を漏らすは、橙色に秋桜柄の浴衣を着る私こと錦織椎那。
天気は生憎の雨だったけど、人の流れが途絶えない今宵のイベントは盛況。そんな中で、私達も相変わらずだった。

「けどさー。確かにメールした時『OK!折角だからしーなも浴衣ねん!』って言ったの私だけどさー。 
 …まさか本当に着てくるとは思わなかったって、正直なこの心境を話していーい?」
「やー、そりゃアンタのその疑問はごもっともだし、何で私もこんな服装なのか未だに疑問だったりするんだけどさぁ…」

そう、正直な所を言えば浴衣を着てくる気は最初さらさら無かった。
…後ろから楽しそうに、メールを覗きこんで居た母の存在に気付くまでは。
脳裏で反復する「あらあらまぁまぁ」なんて転がった、うちのお母さんの楽しげな声。
その両手にいつの間にか抱かれていた、橙色した浴衣が一式。…それを最後にそこから先はよく覚えて居ない。いや、マジで。

「なーるほどー…。 いやぁさすがは椎那のお母様。浴衣を着せた事すら悟らせないとは…和道のプロだわ」
「和道って何よ和道って。『華道』のプロじゃあっけどさ。…ま、いっか。んじゃー、そろそろ行こっか?」
「ほいほいさー!いざ天の川に願い事を持って殴りこみだー!」

殴りこんでどうする。
思わず突っ込みたくなったけど、よくよく考えたら願い事なんて題目で逢引を楽しもうとしている二つ星の水を差そうとしているワケだから。
あながち間違いじゃないなぁと思ったのは、ここだけの話である。

それから、思い思いの願い事をそれぞれ綴って。
私達の願い事も、滞りなくアーケードに設けられた笹の端々に連なる事になった。
『ちゃんと卒業出来ますように』って書いたら、何だか加子が可哀想な物を見る目をしてきたので、思わず異能で降らせた雨水で彼女の髪を濡らさせたのは此処だけの話である。
こっちは本気なんだから…!! てか切実なんだから…!!

 


ちなみに――。

「…よし。一通り見たけど、さすがに今年は『おしとやかになーれ』の願い事は無いわね…!!」
「……アンタまだ根に持ってたのん……?」

昨年、自分の心に様々な意味で衝撃を走らせた文句が無い事を確認する私の姿があったのもまた、ここだけの話である。

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